アンカリング効果 行動心理学

最初に提示された金額や条件が起点になって、その後の決定を無意識に左右する心理。

最終更新日:2022-6-7

人は必ずしも合理的な行動をしない。100万円台で売っている車を80万円と言われると「安い!」と感じる。

元の価格と値下げの価格の両方を提示するのは、この心理をつく方法。

当然ですが、最初から値引き価格を提示してしまうと、値引き価格の価値をお客さんが理解できなくなります。たいてい、値引きや値下げは必ず比較対象の金額といっしょに表示しているはずです。

「アンカリング効果は姑息な手段だ」と甘く考えることはできません。人は日常のいたるところでこの効果の罠にはまります。おそらく気づかないことのほうが多いでしょう。

購入の基準を無意識に作ってしまう

「数年前に買ったパソコンだけど、そろそろ新しいの欲しいな。」と、今のパソコンと同じ機種をネットで検索したところ、定価158,000円のは128,000円で販売していた。

試しに他のメーカーのも検索してみると、178,000円のもあれば、98,000で販売しているのもあった。

「性能の違いがよくわからないからそんなに高くなくても。」、それに「安いの買ってすぐ壊れるのもいやだし。」...いつの間にか最初に見た価格が基準になってしまっている。

しかもこの価格、明確な根拠があるわけではなく単に「最初に目にしただけ」である。それが無意識のうちに基準の位置に居座っている。これがアンカリング効果。

アンカリング効果は「お得感」を演出できる

お得感は本人の主観の問題。どの価格にお得感を感じるかは千差万別。しかもその場の状況がすべてを左右するわけだから、お得感は無限。だから、売りて自らお得感を作り出すのは、さほど難しくない。

投資でも作用する

株式投資やFX、仮想通貨の投資でも、値上がりすると買った時の価格が基準値になって売りどきを考えるはずです。

この場合、買った時に価格が安かったなら売りどきを見つけやすいですが、買った時の価格が高かった場合は、売りどきを見つけにくくなります。

ここでもアンカリング効果が働いていることになります。

納期遅れ

納期の遅れはできれば避けたいものですが、現実には起きうることです。この場合に変更後の納期をできるだけ短く言いたい心理が働きますが、これが落とし穴になります。

「後3日ください」と言って4日後に届けるより、「後7日ください」と言って5日後に届けたほうが相手先からの印象がよくなるはずです。

そうは言っても、こんな都合のいいケースはなかなかないとは思います。でも状況が許すなら、アンカリング効果を考慮するのは大切は交渉術といえます。

その道の専門家すら逃れられない

心理学の研究では、弁護士や不動産コンサルタントなど、その道の専門家であってもアンカリング効果から逃れられなかったという報告があるようです。

世の中はアンカリング効果にあふれている

テレビショッピング、訪問販売でもアンカリング効果はよく使われています。こういう場合、旗から見ていると「またか」と第三者的に分析できます。

でも、アンカリング効果はあらゆる選択の機会に現れます。進路選択、恋人選び、結婚相手、就職先選び、スーパーでの買い物、車の購入・・・意識できるときもありますが、自分が意識できないところで基準値を書き換えられていることがあります。

マーケティングへの活用

アンカリング効果は強力なので、マーケティングに活用しない手はありません。もちろん過度な活用は論外ですが、一つの技術として適切に使うべきものです。

最初に印象的な情報を与えることにより、その後の購入判断に影響を及ぼす。